ハイドランド・シーク④

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来ない方が良いのに、足が向いてしまう自分が情けない。
「店はいいのか、白銀(しろがね)」
「秋月君まで。……喪中って知ってるでしょう」
秋月清流。うちの『s'』で修行し、最近独立した。とても才ある人で、父も手放すのを残念がったが、止めはしなかった。
「美咲君と、また喧嘩か?」
笑った目元が父に似ている。
父の青龍と同じ音。白銀清流――思った事もある。でも、もう触れてはいけない事。彼も修業時代の様に『うらら君』と呼ばなくなった。
「反りが合わないのよ。丁寧口調が嫌味で癇に障る」
「僕としては、先輩に一票。彼は有能だし、何なら『花霞』に引き抜こうか?」
狡い。私が折れると解ってる。その言い方も父に似ている。
「5年来の相棒だろう。少し歩み寄れないか?」
長い腕が、本を1冊渡す。
「美咲創樹(みさきもとき)ね。私結構好き」
「彼のお父さんらしい」
未確認情報だけど。秋月君は少し意地悪く微笑んだ。
青春
公開:19/05/02 08:46

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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