ハイドランド・シーク③

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『かくれんぼアジサイ』と呼ぶ、大きな紫陽花が庭にあった。
ハイドアンドシーク。お母さんが元気な頃、時々かくれんぼして遊んだ。
うちは『s'』という花屋で、一人娘の私は、小さい頃から手伝いに忙しく、あまり学校の友達と遊べなかった。お父さんもお母さんも朝から晩まで働き、独りで遊ぶ事の方が多かった。中学に上がる頃、私は家計を預かる役になり、そんな暇もなくなった。
ハイドランジア。紫陽花の英名。『ハイドランド・シーク』と呼び換え、内緒話がある時。愚痴を言いたい時。泣きたい時。陰に隠してもらった。

「何してるんです?」
「こっち来ないで」
「貴方が喪主です。しっかりして下さい、店長」
そんな事解ってる。何回思ったか知れない。
だから雇った。そんな事最初から解ってる。
「ハイドランジアのハイドは『隠れる』じゃない」
「美咲君なんか大嫌い」
「なら馘にすればいい」
出来るわけないのに。本当に最低な奴。
青春
公開:19/05/01 23:16

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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