さよならの切符
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「さよなら」と告げた声は、驚くほど素っ気なく響いた。突然の言葉に驚いたのか、彼女は目を丸くさせた。木枯らしの寒い、秋の日のことだった。
「何、急に」
「別に。そろそろかなぁって」
私は足元の小石を蹴飛ばして、それに目がいっているように演技した。小石は遠くまで跳ね、転がっていき、草むらの中に見えなくなった。
「私たちはもうすぐいなくなる。あと数十分で」
私は手にした紙を彼女に見せた。それが全てを物語っていた。
「ああ」と落とすように言葉を吐くと、彼女は顔をペロリと撫でた。雨に降られたような顔だった。
「そーね。それじゃ、さよなら」
「うん。さよなら」
二人、同時に目を閉じた。そして目を覚ます。看護師が部屋から出てきて、私達の肉体を呼んだ。
「○○さん」
「はい」
私は紙を差し出して、看護師の言った部屋に入った。
紙には、精神科受診番号と書かれていた。
「何、急に」
「別に。そろそろかなぁって」
私は足元の小石を蹴飛ばして、それに目がいっているように演技した。小石は遠くまで跳ね、転がっていき、草むらの中に見えなくなった。
「私たちはもうすぐいなくなる。あと数十分で」
私は手にした紙を彼女に見せた。それが全てを物語っていた。
「ああ」と落とすように言葉を吐くと、彼女は顔をペロリと撫でた。雨に降られたような顔だった。
「そーね。それじゃ、さよなら」
「うん。さよなら」
二人、同時に目を閉じた。そして目を覚ます。看護師が部屋から出てきて、私達の肉体を呼んだ。
「○○さん」
「はい」
私は紙を差し出して、看護師の言った部屋に入った。
紙には、精神科受診番号と書かれていた。
青春
公開:19/05/03 21:54
ファンタジー小説を書くのが好きです。
よろしくお願いします。
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