つばき姫の憂鬱

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女はバーの看板娘だった。
その白く美しい肌に合わせるように、真っ白な椿の花を頭に挿しているのが評判だった。
その花を見るのが俺の愉しみだった。

だが何度か通ううちに、その椿の花が真紅に染まる日があるのに気が付いた。そういった日の夜は、いつもの⋯⋯少し病的ともいえる肌もほんのりと朱に染まって見えた。
「今夜の椿は紅い色だね?」
「え、今夜は気分が良いので、ね⋯⋯」
おれは酔った勢いで訊ねてみる。
「一体、どんな理由で花の色を変えるのかね?」
「ん、知りたい?」
俺はこくりと頷いた。
女は妖しくにんまりと笑うと、自分の口に指を挿し入れ、たっぷりと唾きを垂らした人差し指をおれに向けた。
指を含むと⋯⋯甘い匂いが口中に広がった。
そして目の前が昏くなった。

「今夜の椿はまた格別に紅い色だねぇ?」
目覚めると、バーの常連客のにやけ面が見えた。
「え、今夜は少し、男をいただき過ぎたみたい、ね⋯⋯」
ホラー
公開:19/05/03 15:08
更新:19/05/07 14:09
ショートショートカレンダー 2月8日「椿の日」

渋谷獏( 東京にいるけっどカンサイジ〜ン♪ )

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