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「や~かましぃ~わ~!」
 死亡宣告されている途中で、じいちゃんが跳ね起きた。医者が思わず「すみません」と言ったのがおかしくて、ICUに爆笑が起きた。じいちゃんも笑った。
 じいちゃんの話では、頭の中で、でかい合唱と重低音のお経、耳障りな鐘と太鼓とが鳴り響いたのだという。
「爆弾が爆発するみたいな音だ」
 医者は早速、じいちゃんを精密検査した。MRIに入った後、じいちゃんが
「こういう音だ。もっとでかかったが」と、医者に言ったそうだ。
 結局、「空耳」という診断をもらって、じいちゃんは一般病棟に戻った。そして、三日に一回くらいの頻度で、「や~かましぃ~わ~!」と跳ね起きた。モニターの記録によれば、じいちゃんはその度に、死と蘇生とを繰り返しているのだという。
 じいちゃんは神も仏も信じていなかったから、きっと神と仏が「静かな眠り」を邪魔しているのだろう。
 そんなじいちゃんは昨日、退院した。
その他
公開:19/05/03 12:33
更新:19/05/03 12:44

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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