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家までの帰り道は、果てしなく遠く感じた。

その日、私は彼にフラれた。それも一方的に。突然のことで思考が追い付かない。彼のこと大好きなのに。
理由を問い詰めても、言葉を濁すだけで答えてくれない。ただ「ごめん」と、申し訳なさそうな顔をして言うだけ。
結局、うやむやのまま私たちは別れた。

ふと、甘く優しい香りがして立ち止まった。そこは帰り道の途中にある公園。桜はもう散っている。まるで今の私みたいに。
そんな中、一本だけ満開の花を咲かせた木があった。
「藤の花じゃよ」と、ベンチに腰かけていたお爺さんが話しかけてきた。「花言葉は知っとるかい?」
「いえ……」
「優しさ、決して離れない、恋に酔う」
「素敵ですねぇ」
「ほっほ。おまえさんの忘れ物じゃな。大丈夫。そのうち誰かが拾って届けてくれるさ。忘れ物も届けてくれん男など忘れなさい」

優しさ溢れる見ず知らずのお爺さんの言葉が、不思議と胸にしみた。
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公開:19/04/30 20:05
更新:19/04/30 20:06

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
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2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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