あららぎ

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今はイチイという樹になった。
古の時代には、蘭と書いたんだ。
歌誌の題になったから、知ってる人もあるかな。
決してきらきらしい花じゃない。
フジバカマ、ノビルなんかの、野に咲く草の事だった。

新しい時代が来るんだと、世の中はかしましい。
令和の源が、万葉の昔にさかのぼる事は、もう有名だね。
梅の花が登場する事も、分かる人が多いだろう。
その後に、実は蘭が出て来るんだよ。

初春の令月にして
気淑(よ)く風和らぎ
梅は鏡前の粉を披(ひら)き
蘭は珮(はい)後の香を薫す

穏やかに、和やかに。民の心一つに。
それも大事だと思うけれど。

あえて僕は、風に逆らって走ってみたい。
一位になれなくても。
華々しい栄光を掴めなくても。

嵐であれ。
乱であれ。
濫であれ。
Runであれ。

賢(さか)しらに、ひりひり辛い言葉を山と掛け。
伸びる様に世界を蹴り付けて。
新たな時を荒らかに駆け抜けたい。
青春
公開:19/04/30 17:24
更新:19/04/30 17:29
蘭(あららぎ) 引用:万葉集 梅花の歌三十二首の序文

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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