メイクアップ
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梅雨に入り、何日も雨が降り続いていた。
専門学校帰り、人通りの少なくなった道の向こうから一人の女性が歩いてくる。真っ赤な分厚いロングコートを着て、大きなマスクをしている。
この蒸し暑い時期に、その姿は誰から見ても異常。僕は目を合わせないように、すれ違おうとした。その時……。
「私、綺麗?」
背筋に悪寒がはしる。恐る恐る女性を見ると、視線がぶつかった。僕はヤバイと思いつつ答えた。
「とても綺麗です」
「ありがとう」そう言って女性がマスクに手をかけた。「じゃあ、これでも?」
マスクの下にあった女性の口は裂けていた。
「……あ」
ある事に気付いた僕は女性に提案してみた。女性は驚くほどのおちょぼ口なのだ。これなら勉強中の僕のメイク術でも裂けた部分を隠し、美しい唇に仕上げる事ができる。
「どう?」
メイクを終え、鏡を見せると女性はうっとりした表情になった。すると嘘のように雨が止み、晴れ間が広がった。
専門学校帰り、人通りの少なくなった道の向こうから一人の女性が歩いてくる。真っ赤な分厚いロングコートを着て、大きなマスクをしている。
この蒸し暑い時期に、その姿は誰から見ても異常。僕は目を合わせないように、すれ違おうとした。その時……。
「私、綺麗?」
背筋に悪寒がはしる。恐る恐る女性を見ると、視線がぶつかった。僕はヤバイと思いつつ答えた。
「とても綺麗です」
「ありがとう」そう言って女性がマスクに手をかけた。「じゃあ、これでも?」
マスクの下にあった女性の口は裂けていた。
「……あ」
ある事に気付いた僕は女性に提案してみた。女性は驚くほどのおちょぼ口なのだ。これなら勉強中の僕のメイク術でも裂けた部分を隠し、美しい唇に仕上げる事ができる。
「どう?」
メイクを終え、鏡を見せると女性はうっとりした表情になった。すると嘘のように雨が止み、晴れ間が広がった。
その他
公開:19/04/30 23:30
ゲリラ晴れ
スクー
まったり。
2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)
壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)
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