先生、ごめんね

8
5

「作家先生とその熱烈なファンの出会いを祝して」
ホテルの一室で私は玲子と乾杯した。玲子とは私の新作ミステリー小説の出版記念パーティで知り合った。

「先生、前から聞きたかったの。先生の本に登場する“拓也”って本当は先生がモデルじゃないかって」
“拓也”は私の小説の登場人物のひとりでプレイボーイという設定だった。

「そうだね、私の小説の登場人物は大なり小なり自分の性格が投影されている。拓也はどうかな?」
玲子の美しい黒髪にふれるとほのかにバラの香りがした。

“リカ?”
突然思い出した。私の小説にも黒髪でバラの香水をつけている女がいた。“殺人鬼リカ”。気に入った男を誘惑して密室に連れ込み、ワインに仕込んだ睡眠薬を使って相手を絞殺する。

急に意識が朦朧として玲子の声が遠くなった。
「先生、読者も小説の登場人物から影響されるって知ってた?私ね、先生のこと好きになちゃったの。ごめんね・・・」
ホラー
公開:19/04/28 23:15
更新:19/05/11 17:05

よしお

週に一つアップすることを目標にしています。
400文字に収めるのに四苦八苦していますが、いろいろなジャンルにチャレンジしたいです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容