あの電園を破壊したい

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その球体の名は「電園」
大きさはわずか直径十五メートルほどの鏡面の完全な球体だ
それが突然に都市の上空に現れると、あらゆる通信機能は麻痺し、電子機器は誤動作を起こし、その球体を中心に世界は崩壊して行った。

強力なシールド材に覆われた大型ドローンを作り、私がその球体のそばまでやって来た時には世界はすでに壊滅状態だった。
私は球体に出来る限り近づいてアクセスを試みた。
そう、それを破壊する目的で。
すると驚くほど簡単に球体は私を受け入れたのだ。
用意した破壊プログラムはいとも簡単に解除され、私は球体の一部だった。

そこにはデータ化された世界の都市と大自然があった。
美しい街並みが広がり、そこには滅んだはずの世界中の人々が暮らしていた。
世界中どこへ行くのも一瞬のうちに出来たし過去へと遡ることも出来た。
「あなたが意地を張っていた最後人間だったのよ」
若くして失った妻と二人の子供たちがいた。
SF
公開:19/04/28 11:43
undoodnu祭り その電脳がハックしたい

家韮真実(いえにら・まみ)( 兵庫県 )

もともとは漫画を描いていました。
漫画のアイデアを文字で書いているうちにショートショートも書くようになったんですよね。
名前はもちろんペンネーム。
実際にはない名字を考えました。
読みは、男の子気分の時は『いえにら・まさみ』
女の子気分の時は『いえにら・まみ』に変わります(笑)

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