静かの50cm

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どうやら私の名前は、『れいぞうこ』らしい。『いえ』と呼ぶ、私より大きな箱に、私より小さな『おれ』と住んでいる。

『おれ』は私の様に四角くないし、開閉する蓋も持たない。当然、中に物を収納出来ない。どころか私の収納物を盗り、伸縮する狭い穴に隠す。『おれ』に入った物は戻らない。役立たずな上に失礼だ。
しかも私の中身が減ると、似た様な物を適当に詰めていく。私は『おれ』と違い、二股に分かれた移動器を持たない。『いえ』を出入りする『おれ』が、私に物を詰め、移動し、また詰める行為を繰り返す理由が解らない。
私は『おれ』が私の蓋を開けるのを、黙って受け入れるだけだった。

どれくらい経ったろう。
『おれ』が居ない時間、私の中で音がする様になった。特に、夜の闇にひとり晒されると、音は忙しなく続いた。
朝が来て、『おれ』が私を開ける。その蓋の距離で立ち止まると、私の音は静まる。
それがなぜか、解らないまま。
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公開:19/04/29 21:18
10101298さんプレゼンツ 『その電子レンジが カップ酒ティンしたい』 主人⇐冷蔵庫ラブver.

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
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