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「運転手さん、どっか美味いラーメン屋さん知らない?」
知るか。ググれ。
「そこのガードのとこ毎日遅くまで行列できてますよ」
「あそこねぇ。普通だった」
「そうですかぁ。この裏の路地に味噌ラーメンの老舗がありますね」
「知ってる知ってる」
「お詳しいじゃないですか」
「そこそこね」
なるほど。
「じゃあちょっと遠いですけど、緑山墓地の屋台なんて」
「それ! そこ行きたくて聞いて回ってたんだよ! タクシー運転手しか知らない幻の屋台!」
「かしこまりました」
墓地は行灯を消したタクシーの殻で溢れていた。暗い道をのろりのろり進んでいくと、休憩中の運転手たちが煙草を呑んだり、競馬新聞を千切ったりしている。その奥にぽつりと明かりが浮かぶ。
「あぁやっと見つけた! ありがとう! いくら?」
「お代はけっこうです。お客さん美味そうだし」
周りにいた赤い目の運転手たちも、にたにたと集まってきた。
知るか。ググれ。
「そこのガードのとこ毎日遅くまで行列できてますよ」
「あそこねぇ。普通だった」
「そうですかぁ。この裏の路地に味噌ラーメンの老舗がありますね」
「知ってる知ってる」
「お詳しいじゃないですか」
「そこそこね」
なるほど。
「じゃあちょっと遠いですけど、緑山墓地の屋台なんて」
「それ! そこ行きたくて聞いて回ってたんだよ! タクシー運転手しか知らない幻の屋台!」
「かしこまりました」
墓地は行灯を消したタクシーの殻で溢れていた。暗い道をのろりのろり進んでいくと、休憩中の運転手たちが煙草を呑んだり、競馬新聞を千切ったりしている。その奥にぽつりと明かりが浮かぶ。
「あぁやっと見つけた! ありがとう! いくら?」
「お代はけっこうです。お客さん美味そうだし」
周りにいた赤い目の運転手たちも、にたにたと集まってきた。
ホラー
公開:19/04/27 12:10
地べたの雲
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