この現実がバックレたい
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改札機に残金不足で止められた。乗り遅れまいと急いでいた俺は盛大に改札機の扉に脛を打ち、その場で短い絶叫をあげて倒れ込んだ。
(か、かっこ悪い)
情けない気持ちになりながらもなんとか立ち上がり、ICカードにチャージしようと来た道を戻った。その時、見知った顔と目が合った。元カノだった。彼女は笑いを噛み殺していた。
(き、消えたい)
さっと目線を逸らし、なんとか壁に寄ると財布を探した。今度は財布がない。昨日着たジーパンのポケットに入れっぱなしだ。
(く、くそう)
ため息をつく俺に、おばあさんが飴を差し出した。目には同情の色が宿っている。
「け、結構です」
慌てて断り、母に持ってきてもらおうとスマホを取り出す。スマホはなかった。あったのはテレビのリモコンだ。
「こうた!忘れ物!」
母だ。手には俺の財布がある。スマホはない。出社の時間には絶対間に合わない。
もういいサボろ。
この現実がバックレたい。
(か、かっこ悪い)
情けない気持ちになりながらもなんとか立ち上がり、ICカードにチャージしようと来た道を戻った。その時、見知った顔と目が合った。元カノだった。彼女は笑いを噛み殺していた。
(き、消えたい)
さっと目線を逸らし、なんとか壁に寄ると財布を探した。今度は財布がない。昨日着たジーパンのポケットに入れっぱなしだ。
(く、くそう)
ため息をつく俺に、おばあさんが飴を差し出した。目には同情の色が宿っている。
「け、結構です」
慌てて断り、母に持ってきてもらおうとスマホを取り出す。スマホはなかった。あったのはテレビのリモコンだ。
「こうた!忘れ物!」
母だ。手には俺の財布がある。スマホはない。出社の時間には絶対間に合わない。
もういいサボろ。
この現実がバックレたい。
その他
公開:19/04/28 02:06
更新:19/04/28 11:23
更新:19/04/28 11:23
undoodnu祭り
その電脳がハックしたい
いやな出来事の連続コンボ
400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。
無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz
『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。
写真は全て自前でやっています(笑)
こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
https://minne.com/@sakoyama0705 - ハンドメイドマーケットminne(ミンネ)
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