その天脳がハックしたい

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「妄走は絶対にありませんヨ」
幻視力村のT氏は妖怪のような顔で笑った。

「では、神宿に設置したらどうかね?」
「いやぁ、それは、光虚の真下というのは⋯⋯」
「絶対安全というなら問題ないだろッ!」
反対派のE氏が机を叩いた。
「従来の発電所と違い幻視人の数が13人も居りますので、万が一があると⋯⋯」
中立派のP氏がおろおろと応えた。
「やはり、万が一があるんじゃねぇか!」
「まぁ、まぁ、今回は陛下の御意向で決めましょうよ」
最下層への設置を目論む私は、陛下の詔で反対派の意見を一蹴する作戦に打って出た。

「ぼくに何か用?」
「はっ、新しい幻視力の場所を、怪ヶ谷にするか神宿にするか迷っております」
「ふーん、安全なら神宿でいいや」
「えっ!?」
会議室の全員が目を剥いた。
「じゃ、神樹の真下に造っといてね」
「はっ⋯⋯」
深く頭を垂れた私たちを後に残し、天脳の幻影は光虚へと帰っていった──。
SF
公開:19/04/27 20:26
更新:19/04/27 20:37
undo祭 その電脳がハックしたい 塔京 コラボ 幻視力発電所の前日譚

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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