死神の失敗

少子高齢化は死神にとって由々しき問題だ。
死亡者リストを確認すると今日も迎えに行く魂は一つ。
また上司に怒られる。最近、魂の数が少ないと怒られてばかりだ。どうにかしてもっと魂の収穫を増やさなければ…
ずっと考え事をしながら仕事をしていたためか今日回収した魂を地獄に帰る途中で落としてしまった。
急いで来た道を戻ると今日の死者が生き返っていた。
しまった！帰り道どころか回収してすぐ落としていたのか！
どうしよう…このままでは上司に怒られる…
「おや？過労死したと聞いたんだが生きているではないか！では休んだ分、今からしっかり働てもらうぞ！」
大声で笑うのは過労死の原因を作った男。私の上司に似て腹の立つ顔をしている。代わりにこいつの魂を貰って帰ろう。
私は男の魂を抜き取り、地獄へと急いだ。
上司から大目玉を食らった。
「お前なぁ…死者を増やすための装置壊してどうする？いっそ天使にでも転職したら？」