その幻聴がロックしたい

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「幻聴が聞こえるんです」
精神科医はライトを照らして私の耳の穴を覗き込んだ。
「聴覚が乗っ取られてますね」
「はい?」
「聴覚IDのパスワードは更新してます?定期的に変更しないとセキュリティが甘くなるんです」
そんなSNSみたいに言われても。
人間の耳の話だぞ。
「冗談ですよね?」
「視覚が乗っ取られて幻視を見てしまうという話は聞いた事ありませんか?聴覚も同じです。じゃあ、IDとパスを教えて下さい」
「そんなの知りませんよ」
「まさか出生届の時のままですか?健康診断の時は?」
「自営なので、そういうのは…」
市役所からの通知を読まずに捨てていたが、聴覚IDとは…。
「ではアカウントをロックして、IDとパスワードを再発行しますね」
医者は何か器具のような物を私の耳に突っ込む。聴覚が遮断される間際、物騒な言葉が聞こえた。
「あ~、遅かった。脳にウイルスを仕込まれてますね。この脳はもうダメ…」
SF
公開:19/04/27 19:00
更新:19/04/27 18:56
undoodnu祭り その電脳がハックしたい

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
SSGで書き始めてから、もうすぐ2年。ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算21回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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