帰り道の忘れ物
1
4
小学生の頃。
通学路を一人で歩いていた。
いつもの道を家へ向かって歩いていくと、右手のたくさんの木に囲まれた大きな家の入り口に、おばあさんが座っていた。
私はなんとなく「こんにちは」と話しかけた。おばあさんは微笑んで、「こんにちは」と返してくれた。
「今学校帰り?」
「うん。おばあさん、ここで何してるの?」
「ふふ、日向ぼっこよ」
それが私とおばあさんの出会いだった。その日から、毎日家の前にある石の上に座っているおばあさんに、今日一日あった出来事を話して帰宅するのが楽しみになった。
ある日、私は風邪で一日学校を休んだ。学校を休むのは別に良かったけど、おばあさんに会えないのが寂しかった。
次の日、会いに行くと、おばあさんはいなかった。
次の日も、その次の日も。
それっきり、会うことはできなかった。
私が休んだ日におばあさんに何があったのか知る由もない。
それが、私の帰り道の忘れ物、なのだ――
通学路を一人で歩いていた。
いつもの道を家へ向かって歩いていくと、右手のたくさんの木に囲まれた大きな家の入り口に、おばあさんが座っていた。
私はなんとなく「こんにちは」と話しかけた。おばあさんは微笑んで、「こんにちは」と返してくれた。
「今学校帰り?」
「うん。おばあさん、ここで何してるの?」
「ふふ、日向ぼっこよ」
それが私とおばあさんの出会いだった。その日から、毎日家の前にある石の上に座っているおばあさんに、今日一日あった出来事を話して帰宅するのが楽しみになった。
ある日、私は風邪で一日学校を休んだ。学校を休むのは別に良かったけど、おばあさんに会えないのが寂しかった。
次の日、会いに行くと、おばあさんはいなかった。
次の日も、その次の日も。
それっきり、会うことはできなかった。
私が休んだ日におばあさんに何があったのか知る由もない。
それが、私の帰り道の忘れ物、なのだ――
その他
公開:19/04/25 05:28
月の音色 月の文学館
思いついたままに、文字を綴る。
ログインするとコメントを投稿できます