田山と山田

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「刑事さん、すみません。今日も田山は部屋に閉じ籠ってます。田山、ずっと好きだった薫を殺してしまったことにかなりショックを受けているみたいで…お願いします!俺、絶対田山を説得してみせますからもう少しだけ待って下さい!」

と、山田の奴はずっと言っているが田山という男は存在しない。
今日も山田は独房に備え付けてある鏡に向かって「田山、出てくるんだ!」と何度も叫んでいる。
この状態で出廷させたところで山田は精神鑑定送りになるだろう。裁判にならん。
私は刑事として山田に何としても罪と認めさせたい。

『警部、山田の奴が突然全てを自供すると言い始めました』
何!?一体どういう風の吹き回しだ?

「刑事さん、今までお手数をかけて申し訳ありません。俺は山田がずっと田山と呼んでいた人格です。山田の奴、追い詰められすぎてついに俺を作り出してしまいました。俺の覚悟はもう決まっています。どうか俺を裁いて下さい」
ミステリー・推理
公開:19/04/24 18:39

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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