幻想動物見聞録・和幸の場合
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花を、摘んでいたんです。自分の体よりも大きな花びらをはためかせながら、小さな蟻が花を摘んでいました。私は探し物をしていましたが、その珍しい光景を見て、私は後をついて行くことにしました。森の奥に行くほどに蟻たちは次第に数を増やし、そこら中が蠢く花だらけになりました。斜陽の影濃く、腐葉土の腐臭と湿気が立ち込めた森の奥。やがて視界が開け、光るものが薄く見えました。花です。夥しい花の色や香りがむせ返っているような場所です。生々しい森の呼吸のような生臭い風が花の毛布を剥ぎました。下から、青白い太腿が覗きました。ふわふわと風に吹かれながら、花下の裸体がさらけ出します。ハイキングに行ったきり、帰ってこなかった私の友人です。
蟻たちに弔われ、深い森の胃袋の中で眠る彼女。迎えに来たつもりでしたが、見なかったことにしました。それ以上近づくと私まで囚われてしまいそうで、逃げ出したんです。
あれは人を喰う森です。
蟻たちに弔われ、深い森の胃袋の中で眠る彼女。迎えに来たつもりでしたが、見なかったことにしました。それ以上近づくと私まで囚われてしまいそうで、逃げ出したんです。
あれは人を喰う森です。
ファンタジー
公開:19/04/24 19:12
書類名『樹海の華葬』
幻想動物見聞録
400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。
無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz
『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。
写真は全て自前でやっています(笑)
こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
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