全国喪主(モヌシ)ング王座決定戦！

　カン！
「さぁ全国喪主ング王座決定戦開始のゴング。先に動いたのはチャンピオン志村多江。女性たちがぞろぞろと焼香の列に……ああっとこれは故人の愛人たちだ！親族の視線が刺さるも毅然と頭を下げ続ける未亡人に観客号泣！」
「ここからですよ」
「なんと愛人たちの香典を勘定していくう！その表情は何も語らず！ただ人の業があるのみ！」
「お見事です」
「さぁ挑戦者の佐藤淳史どんな武器で挑むのか」
「頼りない感じがいいですね」
「なんと震えて動けない！カウント１！２！視線の先に『不合格』の旗が。これは……」
「喪主は息子ですね。女手一つで育ててくれた母が過労死。『大学にいきなさい』が口癖だった母に、喪主挨拶で合格を伝える」
「泣けますね……」
「演出として実際に受験したようです」
「それが不合格ということは？」
「学生としても挑戦者としても、落第です」
「それはあんまり泣けないい！」
　カンカンカンカン！