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                                 ようやく失業生活から脱出し、マンションの管理人の仕事をみつけた。
担当になったマンションの管理室の壁面には、各棟各階の、設備、施設、防犯、防火、防災のためのセンサーや、ランプや、モニターや、スイッチ類がはめ込まれていて、それぞれが点灯したり、点滅したり、けたたましいブザーを鳴らしたり、警告音声を発したりしていた。
僕は前任者からその一つ一つの計器の意味と操作を教えてもらっていたのだが、天井に一番近いところにポツンとついている「脱出」というボタンの説明がなかった。
僕は、「これはどういう場合のボタンですか?」とたずねた。
すると、前任者は早口で言った。
「これを押したから、君が来たんだ」
    担当になったマンションの管理室の壁面には、各棟各階の、設備、施設、防犯、防火、防災のためのセンサーや、ランプや、モニターや、スイッチ類がはめ込まれていて、それぞれが点灯したり、点滅したり、けたたましいブザーを鳴らしたり、警告音声を発したりしていた。
僕は前任者からその一つ一つの計器の意味と操作を教えてもらっていたのだが、天井に一番近いところにポツンとついている「脱出」というボタンの説明がなかった。
僕は、「これはどういう場合のボタンですか?」とたずねた。
すると、前任者は早口で言った。
「これを押したから、君が来たんだ」
        その他
      
      公開:19/04/26 13:22
更新:19/04/26 13:27
    更新:19/04/26 13:27
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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                           新出既出
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