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彼女の心臓が止まってしまった。
長い間、動いていた心臓だ。
寿命が来たのだろう。私が顔を撫でると、満足そうに微笑んだような気がした。

懐かしい声が聞こえてくるようだった。

『そんな顔しないで。また直ぐに動くわよ』

「そうかい?もう休んでもいいんだよ?」

『私が休んだら、誰があなたを起こすのよ』

「ははは。もう、独りでも起きれるさ」

『本当かしら』

「本当さ」

私は彼女の横に寝そべると、目を閉じた。このまま自分も死んでしまいたい…

けれど、ジリリリ!と鳴り響いた音にはっと目を覚ました。
彼女を見ると、いつもと変わらない微笑みを浮かべ、「7時ですよ」と告げられた。

なんだ、あれは夢だったのか。
彼女の充電を確かめる。

「おはよう」
『ええ。おはよう』

彼女がにこりと返す。

『今日は何をしようかしら?』


孤独な朝を快適に。
人型目覚まし時計、売れてます。
その他
公開:19/04/26 08:53

Somei_Yosino

ファンタジー小説を書くのが好きです。
よろしくお願いします。

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