監獄島_(10)

政府の要人との会談は、村の集会所で行われることになった。
それに先立ち、今回の熊の襲撃で怪我を負ったものに対し、
医師が派遣され治療を受けられることになった。

ヤスの話ではどうやら前任者が失脚したらしい
ヤスいわく手のひら返した対応でわけがわからんとの事。
「まあ、せっかくだ。皆になるべく綺麗な服で来るように言っておいてくれ」
準備に追われるうちにあっという間に会談の当日になった。
集会場近くの広場に皆で集まる。

「おい、来たぞ！！」

見上げると政府のものとおぼしきヘリが数台こちらに近づいてくる。

そして、村の広場に着陸し中から護衛らしき軍服の男と正装で固めた男女が数人
降りてきた。

「嘘……」
一番最後に降りてきた人物を見て私は言葉を失った。

「父さん・・・・！？」

普段よりも上等な服を着て、背筋もしっかり伸びているが
その顔つきは父、相田　大儀のものであった。