内臓二十物語 第十五臓(はらわた)

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娘がどこぞの男の子供を孕んできたが、育たんで途中で流れてしもうた。
悲しんだ娘はどこからか人形か何かを持ってきて、お包みに入れて子守唄を歌ったりしてる。
それで気が休まるならよかろうと放っておいたのだが、娘のもっているお包みの中身が動いたように思えた。人形かと思っていたが、他所の子をさらってきたんじゃあるまいな。
「ちょっと、それは何が入ってるね」
取り上げたお包みの中を見ると、包みの中は赤ん坊でも人形でもなく、冬瓜であった。
「なんだい、こりゃ」
呆れて娘に突っ返す。するとお包みからツルリと冬瓜が飛び出した。べシャッという嫌な音がして、冬瓜が割れた。
「ああああああ」
娘が叫ぶので、何を大げさにと見ると、割れた冬瓜から赤黒いの腸のようなものがでろと飛び出している。赤い液体が広がった。
恐る恐る手に取ると冬瓜の中には小さな目玉や口や鼻が付いたはらわたがあり、キョロリと動く目玉がわしを見た。
その他
公開:19/04/22 21:10
内臓二十物語 第十五臓(はらわた) 原案そるとばたあ

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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