特別室

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無言で続く行列。

そこに私が並ぶ時が来てしまった。

「彼はこっちの部屋。次の彼も同じ」

私たちは事務的に区分けされていく。

そして……

「彼女は……ん?」

まさかアタシが!?

「特別室」

非情の宣告。ついに私も送られてしまった。

部屋には既に幾人もの人影。皆、私を憐みの視線で見る。

違う。私はあなた方とは違うわ

その時、目の前の幼い子供が…続いてその隣の女性が……

同じ部屋の仲間が次々と姿を消していく。

酷い。あんまりだ。

そう思ったとき、いきなり私の手が掴まれた。

イヤ!私はまだ役に立てるわ!

そう怒鳴りたい。でも声が出ない。



だって私は……



「コイツは随分と古いマネキンだな。代わりのカワイ子ちゃんが控えてるんだ。お前は用済みよ」

私はバラバラにされ焼却炉に放り込まれた。

業火は瞬く間に老体を包み、跡形もなく私の存在を消し去った。
その他
公開:19/04/24 00:22

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