最後の願い
5
10
「来てくれたんだね」
僕は教室の前で、静かにこくりと首肯く。
放課後。オレンジの光が廊下の窓から差し込んで、僕の顔も染まる。
明日から春休みが始まる。
「入ってきてはくれないの?」声が聞こえる。
これは教室の声。僕は教室と話すことができるのだ。彼女はどうやら、僕のことが好きなようだ。
「うん、僕は廊下で話したい」
「そう、なんだ」
「……うん」
少しの沈黙。
「本当にお別れなの?」
「そうだね、だけど仕方の無いことなんだ。僕が次の学年に進む限り」
「そっか」
「……うん」
「最後に、一つだけ。こっちにあなたの忘れ物があるの。取りに来て」
「……え、でも」
「お願い」
彼女の最後の願い。
大丈夫、きっとすぐに終わる。
「分かったよ」
扉を開けて中に入る。すると。
ピシャッ、ガチャリ。
鍵のしまる音。
しまった。
扉を揺すってもびくともしない。笑い声が聞こえる。
「これで、ずっと、一緒」
僕は教室の前で、静かにこくりと首肯く。
放課後。オレンジの光が廊下の窓から差し込んで、僕の顔も染まる。
明日から春休みが始まる。
「入ってきてはくれないの?」声が聞こえる。
これは教室の声。僕は教室と話すことができるのだ。彼女はどうやら、僕のことが好きなようだ。
「うん、僕は廊下で話したい」
「そう、なんだ」
「……うん」
少しの沈黙。
「本当にお別れなの?」
「そうだね、だけど仕方の無いことなんだ。僕が次の学年に進む限り」
「そっか」
「……うん」
「最後に、一つだけ。こっちにあなたの忘れ物があるの。取りに来て」
「……え、でも」
「お願い」
彼女の最後の願い。
大丈夫、きっとすぐに終わる。
「分かったよ」
扉を開けて中に入る。すると。
ピシャッ、ガチャリ。
鍵のしまる音。
しまった。
扉を揺すってもびくともしない。笑い声が聞こえる。
「これで、ずっと、一緒」
ホラー
公開:19/04/23 23:07
スクー
束縛クラス替え
たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!
ログインするとコメントを投稿できます