羽衣のゆくえ

18
15

「あれ? 羽衣どうしたの!?」
学校の教室に入ったとたん、友達が話しかけてきた。
「人にあげた」
「えーっ、織ったばっかりなのに。いったい誰に」
信じられないという顔で友達は私の顔を覗き込んだ。
「いや、天空パトロールのときに下見たら幸せそうなカップルが歩いててさ。なんかすごく雰囲気良くて」
「で?」
「聞く気はなかったんだけど、話聞こえてさ。結婚したてみたいなんだよね。だから二人の肩にかけて結んできた、羽衣」
「うわもったいない。人間には見えないし、あたしらみたいに空を飛べるわけじゃないんだよ?」
友達は本当に上半身を引いていた。
「でも、人間だってさ、羽衣があれば心や体がより軽くなって、二人でたくさんいろんな所に行けるかもしれないよ」
「まあ、世界に羽ばたくという言葉もあるらしいし……けど新しいの織るまでの間、あんたはどうするの」
「私は今度こそ地に足のついた生活をするよ!」
ファンタジー
公開:19/04/21 05:30
遅ればせながら 結婚祭り ぱせりんさん おめでとうございます お幸せに

UKITABI

ショートショート初心者です。
作品をたくさん書けるようになりたいです。

「潮目が変わって」(プチコン 海:優秀作)
「七夕サプライズ」(七夕ショートショートコンテスト:入選)
「最高の福利厚生」(働きたい会社 ショートショートコンテスト:入選)
選出いただきました。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容