211. 女心の真実

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「私、畏まったディナーはそんなに好きじゃないの」
ショートヘアーに人懐っこい笑顔、ミスした同僚をさり気無くフォローしてあげられる、彼女のそんなところに惹かれ始めた頃数人で行った居酒屋で食べ物の話になり、彼女はそう言った。
「だってコース料理は少しずつしか出てこないし、お酒も沢山飲めないでしょ」
この話に共感した僕の心はこの瞬間から一気に彼女に傾いた。
その後付き合うこととなり、不況で給料が決して良くはない僕たちの夕食は、いつも彼女の手作りか安居酒屋だった。
そして彼女の誕生日。僕は彼女が大好きな焼き鳥屋を予約し、二人で食事を楽しんでいたが、ふと彼女の手が止まった─。

「なんで真実(まみ)はいつもB級なとこしか連れてってもらえんの?誕生日くらい良いレストランで食事したかった…」
彼女は仔犬のように震え泣きだした。

「せやかて不況やからしゃーな…いやゴメンな」
女心って難しい。
クゥーン…
その他
公開:19/04/21 09:00
更新:19/04/21 10:05
スクー 真実はいつもB級グルメ せやかて不況 そんなに好きじゃないだけで キライとは言ってない 記念日は大切

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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