無限を愛した先生

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「今日は数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞した大鳥居先生を、ここ新宿東御苑にお迎えして、これからの日本の教育について語っていただきます。まずは大鳥居先生、先日喜寿を迎えられました。おめでとうございます」

「見ろ!」

先生は立ち上がり、目の前のS字型の遊歩道に向って突然走りだした。そして一本の木の枝を拾い、その遊歩道に沿わせて端に置いた。

「これが接線じゃ。平均変化率の極限を取ればその傾きが得られる。そして…」

ブスリ!

先生はS字歩道の真ん中あたりに先ほどの枝を突き立てた。

「ここが変曲点じゃ。ここでS字カーブの凹凸が入れ替わる。二階微分=0を解けば、おお!」

先生はその枝を空に向けた。同時にカメラも空に向けた。

飛行機がゆっくりと左に旋回していた。

そしてほんの少しだけ右に機首を向けると今度は右に旋回し、美しいS字の飛行機雲だけを残しどこかへ飛び去って行った。
ファンタジー
公開:19/04/20 21:10

数理十九

第27回ゆきのまち幻想文学賞「大湊ホテル」入選
第28回ゆきのまち幻想文学賞「永下のトンネル」長編佳作
一期一会。
気の向くままに書いては、読んで、コメントしています。
特に数学・物理系のショートショートにはすぐに化学反応(?)します。
ガチの数学ショートショートを投稿したいのですが、数式が打てない…
書こうと考えてもダメで、ふと閃いたら書けるタイプ。
最近は定期投稿できてないですが、アイデアたまったら気ままに出没します。

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