聞こえた先は
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聞こえた先は
住宅街のどこかから、すすり泣くような悲鳴が聞こえた。女だった。ひぃぃ、ひぃぃ、と長く続き、何人かの通報を受け、警察が住宅地へやってきた。
現場と思われたのは、住宅地に隠されるように建っていた、竹やぶに囲まれた神社である。神主がいない打ち捨てられた神社で、幽霊か、はたまた家出か迷子だろうか、警察官が恐る恐る、お堂へ続く扉を開けた。
ギギィ、と開いた先にあるのは、ぽっかりと空いたお堂。斜めに切られた巨大な竹が、仏像の隣に置かれていた。
耳をすますと、そこからひぃぃ、ひぃぃ、と音が聞こえる。
「竹が鳴っているだけですな」
なんだとなんだと野次馬が散り、警察官も帰っていった。竹の悲鳴はしばらく経つと止み、隙間風のせいだろうと口々に言われ、忘れられた。
仏像の中から喉が潰れた死体が見つかったのは、それから三年後のことである。
住宅街のどこかから、すすり泣くような悲鳴が聞こえた。女だった。ひぃぃ、ひぃぃ、と長く続き、何人かの通報を受け、警察が住宅地へやってきた。
現場と思われたのは、住宅地に隠されるように建っていた、竹やぶに囲まれた神社である。神主がいない打ち捨てられた神社で、幽霊か、はたまた家出か迷子だろうか、警察官が恐る恐る、お堂へ続く扉を開けた。
ギギィ、と開いた先にあるのは、ぽっかりと空いたお堂。斜めに切られた巨大な竹が、仏像の隣に置かれていた。
耳をすますと、そこからひぃぃ、ひぃぃ、と音が聞こえる。
「竹が鳴っているだけですな」
なんだとなんだと野次馬が散り、警察官も帰っていった。竹の悲鳴はしばらく経つと止み、隙間風のせいだろうと口々に言われ、忘れられた。
仏像の中から喉が潰れた死体が見つかったのは、それから三年後のことである。
ホラー
公開:19/04/21 22:15
ファンタジー小説を書くのが好きです。
よろしくお願いします。
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