わかってるよ

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「せやかて」
関西出身の彼の口癖だ。後ろ向きで奥手な彼だが、そういう慎重な性格も私には合っていた。だからといって、付き合って十年間も二人の関係に進展がないのは流石に長すぎた。
「ねえ、私達。ゆくゆくは……?」
「何?」
「結婚……とか?」
「せやかてミユ、仕事は?」
「辞めても、良いよ」
彼は困った表情をした。
「せやかて、折角入社したのに」
「いいの!」
知ってたけど、なかなかしつこい。
「せやかて、俺の給料だけじゃ」
「お金は何とかなるよ」
「せやかて、不況……」
彼の言葉を塞ぐように、私は彼にぎこちなくキスをした。十年間で初めてのキス。彼は銅像のように固まっていた。
「わかってるよ、言いたい事わかってるよ」
私は一生分の勇気を出して、彼に告げた。
「せやかて、ずっと一緒にいたいもん」

そして、今日私達は結婚式を挙げる。
「せやかて、教会でキスするのは……」
「ダーメ」
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公開:19/04/21 20:53
更新:19/04/21 20:55
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