ブルーノートのレクイエム

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レクイエム。
なんて格好のいい言葉だろう。

数種類の精神安定剤や睡眠剤を、毎晩飲んでいるのは知っていた。
錠剤で飲むのが苦手だからと、手間暇かけて粉にしていたことも。
ただ、僕は睡眠剤だけを同じ分量になるようにしただけ。
カクンと首が落ちた彼に、まだ息はある。
あとは彼の生命力次第。
できれば、穏やかに逝ってもらいたい。

彼の膝にブランケットを掛け、いつも自慢していたオーディオのドーナツに針を落とす。
ブルーノートに通うくらいジャズが好きだった彼に、マイルス・デイビスが誘うように包みこむ。

僕が彼のためにしてやれる最期のお手伝い。
彼にレクイエムを。
ミステリー・推理
公開:19/04/19 14:07

ibara_hime

文章を削る練習をしています。
妄想は得意。感想は苦手。   ・・・・・・です。

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