甘い夢

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深夜。ふと目が覚めて私は思う。
もうこの国にプリンは存在しないのだと。
クーデターで国王のプリン4世が追放されて数年が経つ。
私は側近として国王とカラメル王妃に仕えていた。
時代はまだ甘くぷるぷるだった。
隣国から流入した海水塩たちは甘味を引き立てると重宝されて国民の支持を獲得、やがて軍部を掌握していった。
私が危機感を覚えたときはもう手遅れで、国中に塩味が蔓延していた。塩風でプリン時代の建物は次々と倒壊し、血圧の高まった国民たちは王朝への不満を口にした。軍部は酒を求めて反乱を起こし、その動きが「甘ったるいな革命」へと繋がった。
私を含むプリン派の残党は他の甘味支持派とともに国境付近に留まり、塩プリンや塩大福で塩味派との交渉に出たが結局は甘いと一蹴された。
私は塩味王に迫った。
「塩味か甘味か。極端な時代はもうたくさんだ。あなたも本当は自由を求めていたはずだ」
塩味王は言った。
「あまっ」
公開:19/04/19 10:16

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