読めない手紙

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彼は超奥手だ。
最初に告白したのも私。いや、それだけじゃない。何をするにも私が主導。
二十歳から付き合い始めて、もう九年。私を大事にしてくれているのは伝わっているし、今さらどうこう言うつもりはない。
なにより、彼には私がついていないとダメだ。そろそろ私からプロポーズしようかな?
そう思い始めていた頃だった。

「これ」
彼に茶封筒を渡された。
「なにこれ?」
「手紙」
「手紙ぃ?」
もっと可愛い封筒なかったの? と思いつつ、中に入っている折り畳まれた紙を取り出した。それを開く。
長文だ。でも……。
「読めないんだけどー」
わざと? と言いたくなるほど汚い字で書かれていたのだ。
「うん。大事なとこだけ僕が読む」そう言いながらも手紙は見ず、私に真剣な眼差しを向けて言った。「結婚しよう!」

バカ。涙が溢れるほど嬉しいんだけどさ……。
鼻毛、出てるよ?
もう。ほんと私がいないと、ダメなんだから。
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公開:19/04/20 00:50
更新:19/04/20 18:12
結婚祭り 乃ver.

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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