心霊写真

「どうしよう。心霊写真撮れちゃった……」
震えながら、友人が言った。
先日親戚達と有名な老舗旅館に行った際の写真を見直していて、気付いたのだという。
どんなのだろうと興味が湧き、見せてほしいと頼んだ。友人のスマホ画面を覗き込む。
旅館の入り口前で撮ったという写真。友人の親戚らしき人達が3人写っている。白髪のおじいさん、車椅子のおばあさん、その地域のゆるキャラのぬいぐるみを腕いっぱいに抱えた幼稚園くらいの子。みんなにこやかな笑顔。
目を凝らし隅々まで探してみたが、透けて見える人も、誰かの肩に乗せられた手も、顔のように見えるシミも、人魂も、どこにも写っていなかった。普通の家族写真だった。
「何でもないじゃん。くだらない嘘つくんじゃないよ」呆れて、笑いながら顔を上げた。
友人は青ざめたまま、かぶりを振った。

「入り口を撮っただけなの。この人達、写真撮った時はいなかったの。全然知らない人達なの」