シーグラスソルト

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海辺で拾ったシーグラスを、何気なくお風呂に入れてみた。あの色彩を液体の中で眺めたかったからだ。湯船に身体をひたし、輪郭を失ったシーグラスを手に取った。色の結晶のようなソレを湯面から取り出し、照明にかざす。太陽の光を思い出したように輝くと、突然ソレはシュワシュワと溶け出した。
潮の香りと、水中に転がる空気の音が聞こえる。シーグラスたちの思い出だ。長い時間をかけて磨耗した、まだ瓶のかけらだった頃の思い出。海の旅から帰ってきたガラスの破片は、私にいろんなことを教えてくれた。
まるで学校帰りの子どものように、まるで仕事終わりの亭主のように、寄せては返すたえまない感情の吐露。私は目を閉じて、潮騒の言葉に耳を傾ける。
シーグラスたちは話し終えると満足気に泡と消え、風呂場に静寂が戻った。
また拾いに行こう。波の音が恋しい。
私は体に染み入る潮騒の音を心の中で反芻しながら、湯船に身体を埋めて目を閉じた。
ファンタジー
公開:19/04/18 08:31
更新:19/04/18 11:07
そうだ、海に行こう 貝とかシーグラス拾いたい 一人色彩祭り

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
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写真は全て自前でやっています(笑)

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