内臓二十物語 第十一臓(盲腸)
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もっちゃん、俺はいつだってもっちゃんの後ろに、金魚の糞みたいにぶら下がってるだけだったけど、この糞れ縁とももうサイナラだ。
「チュウ、おめえ、腫れてんぞ?まさかまた」
「もっちゃん、とうとうヤキがまわったよ。何度も薬で散らしてきたけど今回ばかりはいけねえや」
「何言ってやがんだ」
もっちゃんは俺のヒョロっとした体を抱えようとした。
「ばか!もっちゃんまで感染すっぞ」
サイレンの音がする。俺は意識が遠くなっていくのを感じた。
目を覚ますと白い天井が見えた。手術室の照明が眩しい。
「俺、切除されたのか?」
「ああ」
「もっちゃん?」
もっちゃんが同じ銀色のトレーに寝転がってる。
「ずっと繋がってたんだからよ。最後まで一緒だぁ」
人間は自分の体の一部も、切って捨てちゃうのにな。おかしいや。
「腹ん中はあったかかったなぁ」
もっちゃんと俺は冷えたトレーの上でくっついたまんま、一緒に冷たくなった。
「チュウ、おめえ、腫れてんぞ?まさかまた」
「もっちゃん、とうとうヤキがまわったよ。何度も薬で散らしてきたけど今回ばかりはいけねえや」
「何言ってやがんだ」
もっちゃんは俺のヒョロっとした体を抱えようとした。
「ばか!もっちゃんまで感染すっぞ」
サイレンの音がする。俺は意識が遠くなっていくのを感じた。
目を覚ますと白い天井が見えた。手術室の照明が眩しい。
「俺、切除されたのか?」
「ああ」
「もっちゃん?」
もっちゃんが同じ銀色のトレーに寝転がってる。
「ずっと繋がってたんだからよ。最後まで一緒だぁ」
人間は自分の体の一部も、切って捨てちゃうのにな。おかしいや。
「腹ん中はあったかかったなぁ」
もっちゃんと俺は冷えたトレーの上でくっついたまんま、一緒に冷たくなった。
その他
公開:19/04/17 20:41
更新:19/04/18 22:29
更新:19/04/18 22:29
内臓二十物語
第十一蔵(盲腸)
原案そるとばたあ
人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。
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