内臓二十物語 第十二臓(腎臓)

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「バーカ」「ウザっ」「キモっ」「こんな事もできないの?」「ダサっ」「きえろ」「クズ」

僕の腎臓は、汚れた気持ちや汚れた言葉をろ過してくれる特別な腎臓だから、僕はどんな言葉を浴びせられたって、どんな態度をとられたって平気だ。
でも、何年も毎日たくさんの汚れたものを飲み込み過ぎたのかな、僕の腎臓は処理しきれなくなったみたい。体は毒でパンパンだ。
「なんかこいつ太ってきてね」「むくんでんじゃん」「病気かよ」

僕の腎臓はもう末期の腎不全。
「優しいものに触れて、素敵な音楽を聞いた方がいい」
お医者さんはそう言った。

僕は今、療養にきてる。
鳥の囀りや川のせせらぎ、風の音を聞いて、寝そべってる猫や走り回る犬触れて僕は少し元気なった。
透析を受けて汚い言葉や悪い感情を廃棄バッグに入れた。
明日、たくさんの廃棄バッグを持って、ここを出る。
自分で出したゴミはやっぱり、自分で片付けてもらわないとね。
その他
公開:19/04/18 21:04
内臓二十物語 第十二臓(腎臓) 原案そるとばたあ

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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