課長の秘密

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最近、やけに課長の機嫌がいい。

ある日、一緒に残業をすることになった。そっと聞いてみる。

「課長、何かあったんですか?」
「ちょっとな」

何だか怪しい。
「もったいぶらずに教えてくださいよ」
「……分かった。今度連れていってやる」

「誰にも言うなよ」

金曜の夜、課長と会社を出た。
電車に乗り、郊外の駅で降りる。

マンションの一室にたどり着いた。
課長が慣れた手つきで、暗証番号を押す。

ドアが内側から開く。
「ようこそ」
男性が出迎えてくれた。

どこか見覚えのある部屋だった。そう、コンサートの楽屋だ。

クローゼットには、白いタンクトップとパンツ。机にはヒゲと胸毛が置いてある。

「どうぞ、身につけてください」

そしてもちろん、ステージは……。
1985年7月13日、ウェンブリー・スタジアム。

「ライヴ・エイドです!」

ここでは誰でも、フレディ・マーキュリーになれる。
その他
公開:19/04/14 18:01
更新:19/04/15 10:33
おじさん祭り 「ボヘミアン・ラプソディ」

ろっさ( 大阪府 )

短い物書き。
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