オジサン色

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 クラシックグレーの気怠い朝、街は何の予兆もなく一変した。
「おかしいな……」
 駅前のたばこ屋で違和感の正体を掴む。売り場のおばちゃんが、今朝はおじさんだ。
 そう、家を出てから最寄り駅に至るまで、おじさんしか見ていない。薬局のマスコットや公衆トイレの赤いやつまでおじさんだった。街ごと全部が、おじさん一色に染まっていた。おじさんの私でも気味が悪い。
「今日はおばちゃんいないんですね」
 尋ねると、たばこ屋は不敵に笑った。
「ふふ。オレだよオレ。流行りに乗って染まってみたんだ。おじさん色に」
「おじさん色?」
「そ。皆染まってるよ。女子高生だって」
 まさか。嫌な予感がして、私は急いで家に戻った。

「よし子!」
 帰宅し妻の名を呼ぶと、どこからともなく愛のテーマが流れ出し、歴戦の風格を湛えた笑い皺と共に、ナイスミドルが現れた。
「どうだい。ロバートデニ色だぜ」
 私より色男じゃないか!
その他
公開:19/04/16 14:21
おじさん祭り ┐(´ー`)┌

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