神さまの絵筆

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細い絵筆に蒲公英色を吸い上げて、魂を染めつけた。
「お前は鳥だ。翼をやろう」
花緑青を塗りつけて濃淡豊かな羽根が生まれる。
「嘴をやろう、美しい音をやる」
玉蜀黍色を嘴に。小さな鼻にも色がつく。
「夏の色を託してやろう。絵筆によりをかけてやる」
両頬に天色を一つずつ。首元に檳榔子黒を点々と。白百合色もちらつかせ、絵筆は細部も彩った。くすぐったくて心地よく、小さな毛玉は囀った。
「最後にお前に光をやろう。他の兄弟と等しく命をやる。自ら命を絶つんじゃないよ。ちゃんと見守っているからね」
絵筆は涅色を拾い上げ、目玉に染めつけ仕上げに入る。魂は神さまに、心を込めて彩られる。
「ちゃんと迎えにいくからね。気をつけて行っておいで」

一つの卵が僅かに動いた。その変化に子どもが沸き立つ。
「もう少しで出てくるよ!」
「どんな色の雛かな?」
全ては絵筆の言う通り。白い魂は神さまに、心を込めて彩られる。
ファンタジー
公開:19/04/16 12:29
セキセイインコのカラフルさ

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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