空気正常機

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男がやって来た。
「うっ、なんて汚い空気だ!」
空気清浄機をONにして快適な空気にした。

こんどは女がやって来た。
「うわっ、ひどい空気ねぇ!」
空気清浄機をONにして快適な空気にした。

次は老人がやって来た。
「うむ、ひどい空気じゃ!」
空気清浄機をONにして快適な空気にした。

「おい貴様ら、勝手に空気を入れかえるなよ!」
最初の男がやって来て怒鳴った。
「何であんたに合わせなきゃいけないの!」
女も喧嘩腰だ。
「年寄りに合わせたらどうじゃ?」
老人が割って入った。
各々の清浄機を使い、目まぐるしい勢いで空気が変わっていった。
「モウ空気ヲ正常ニスル事ハ、不可能デス!」
とうとう空気清浄機が根をあげた。
「こんな酷い空気じゃ、ここに住むのはもう無理だ!」
と言い残し三人の宇宙人は去って行ったので、俺は地下シェルターから地上に出た。

「やっと、俺たち人類の住める空気に戻ったな⋯⋯」
SF
公開:19/04/16 01:32
更新:19/04/16 03:03
ショートショートカレンダー 1月19日「空気清浄機の日」 用です。すみません。

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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