君の住む世界

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引っ越しをしようと思う。と引っ越した翌日に彼女に言われた。
「新生活を送りたくて」
「新生活を送る為に引っ越したのに!?」
彼女を引き止めようと声を荒げるが、気にしていないのか勝手に話を進める。
「次はどうしよう。ハワイかな」
「パスポートも持ってないくせに!」
「洋太くんはいつか外国で生活したいって言ってたね」
「今じゃなくていい!」
話を聞いてくれない彼女は、突然椅子とロープも持ってきた。一体何をしようというのか。そこまで考えて、僕が昨日事故で死んでいたことに気付いた。
ポテトチップスを買い忘れていた僕は、その帰り道で車に跳ねられて死んだのだ。「早く買ってきて!」最後に聞いた彼女の言葉だ。
僕はロープを奪おうとした。けれどその手はすり抜けていく。怖くて目を瞑っていると、椅子の倒れる音が聞こえた。
目を開けると彼女がそこにいる。透けて見える彼女の向こうに、ぶら下がる人間の体も一つ。
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公開:19/04/13 00:53

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