夢の薬

12
11

「やったのん!ついに完成じゃのん!」
狭い研究室でN博士が叫んだ。
「やっと私の夢が叶います」
助手のS女史も興奮気味だ。

二人が長年の研究で作った薬は、飲むと長時間 外部の音を遮断するというものだった。
これがあれば、例えば経済的な事情で自分の部屋を持てない子どもも、勉強に集中する事ができる。
「そうだのん。きみも家族が多かったのん。これで、周りの音を気にせずに勉強できる子どもが増えるのん。きみの夢が叶ったのん」
するとS女史は冷静に言った。
「いえ、夢が叶うのはこれからです。これでやっと雑音を気にせず研究に集中できます」
そう言って彼女は薬を飲み込んだ。
その他
公開:19/04/12 22:27
更新:19/04/12 23:44

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容