鏡割りの村

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「鏡の持ち込みは禁じておる」
馬に担がせた麻袋から鏡を出すと、年老いたシェリフは銃把で鏡面をガツンとやった。
「いるかね?」
「捨てておいて⋯⋯」
あたしは旅で疲れた身体を休めるため、宿屋で軽い食事を済ませ早々に眠りに就いた。

妙な呻き声で目が覚めた。
窓の外を見ると、真夜中だというのに村人がぞろぞろと這い出し、どうやらこの宿屋に向かって来ていた。
銃を手に持ち部屋の扉を開ける。
「ぐおぉぉ」
宿の店主だ。
目は猫のように光り爪は鋭く尖っていた。迷わず眉間に一発お見舞いしたが、すぐに立ち上がってきた。
窓から屋根に出ると、すでに村人が這い上がっていた。試しに何発か撃ってみたがやはり効果はない。
あたしは首飾りのロケットに小さな鏡があったのを思い出した。
急いで取り出すと鏡は金色に輝き始め、村人を次々に骸骨へと還していった。

「やれやれ⋯⋯」
あたしは白骨だけとなった村をあとにした──。
ホラー
公開:19/04/14 15:37
更新:19/04/15 03:28
ショートショートカレンダー 1月11日「鏡割りの日」 用です。すみません。 西部劇

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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