得意料理は…

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 新人のN。媚びてる感じが大嫌い。
「あ、でも私、冷蔵庫に余ったものでパッパって作るのが得意かな」だって。むかつく。余りものになる前の、本気の料理について語ってみろって感じ。で、私、閃いたんだ。
「Nさんの余りものレシピ是非食べてみたいな。ね、みんな」
「でも」
「今、私の家の冷蔵庫、余りものばかりだから。親睦会も兼ねて!」
 賞味期限切れの卵と牛乳、ニンニクの芯と玉葱の皮。黴の生えたしめじとブルーベリージャム。氷と保冷剤とキムコジャイアント。酒、唐辛子、塩辛、ビーフジャーキー。
 Nったら、冷蔵庫を開けて唖然としてた。でもあの子、受けて立ったわ。N、怖い子。
 たったの15分で、深い香りのトロトロスープが私達の前に。
「お口にあうといいんですけど」って。
 ものすごく美味しそうなの。みんな、ズルズル啜ってる。私はこれが何からできているか知っているから食べたくない。でも、美味しそうなの…
ホラー
公開:19/04/14 07:46
更新:19/04/14 07:49

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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