切り裂かれジャック

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時は19世紀末、霧の街ロンドン。水兵を模した人形がおなかの綿を引き出された状態で何体も捨てられている事件がロンドンを震撼させていた。

“切り裂かれジャック”

世間はその水兵人形をジャックと呼んだ。この事件が世間を騒がせているのは、いずれの人形にも腹の部分に人の血痕が発見されたからである。

―これは殺人事件の前触れだ
―水兵に恨みを持った女性が呪いの儀式を行ったらしい
―負傷した強盗が盗品を人形に隠したに違いない

様々な憶測が流れたが、ある日を境に切り裂かれジャックはぱったりと現れなくなった。

その日の朝刊。

<謝罪広告>-主婦の縫製出版社-
先月号の特集「水兵人形の作り方」に誤りがありました。図面の通りに作業をすると、人形の腹を縫製するさいに手を怪我する可能性がございます。なお、お怒りになるのはごもっともですが、どうか失敗した人形を路上に捨てたりしないようお願い申し上げます。
ミステリー・推理
公開:19/04/13 18:34

よしお

400文字に収めるのに四苦八苦していますが、いろいろなジャンルにチャレンジしたいです。

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