溶けるイグアナ

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僕が勤める研究所に近くの漁港から1本の電話が入った。
『変な生き物があがったから早く来てくれ!』

生物学者の血が騒いだ僕はすぐに向かった。

到着するとそこにはお腹がパンパンに膨れ苦しんでいる生き物がいた。イグアナだ…なぜ漁港にいる?

『船の生け簀を開けたら大漁の魚が消えてて代わりにこいつがいた。網をあげた時はいなかったのに…』漁師は困っていた。

僕はイグアナを保護し調査を始めた。イグアナの胃から大量の魚を取り除き観察記録をノートに書き込んだ。
ノートから目を戻す。イグアナがいない!
大慌てで部屋中を探した僕は気づいた。

研究机をゆっくりと這う透明の液体を。

僕は驚いて飲みかけのコーヒーを机にぶちまけてしまった。

調査の結果、このイグアナは細胞が水によく似た構造をしていて自在に体を液状化させ獲物を捕らえていた事が分かった。

元気になったイグアナからはコーヒーのいい香りがした。
ファンタジー
公開:19/04/13 16:27

つむぎ


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