花粉屋(十一)

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「かぐや姫は平安の話だ。霊薬が実在しても、今更辿れない」
「花粉の遺伝子を、ほぼ完璧に復元する方法がある。当時の地層から花粉化石を抽出し、複製を造る」
富士山で焼かれた霊薬が、未知の竹の花なら。焼却時に散った花粉は、煙に乗って上昇、雨に流れ、山裾の泥炭地に残留した確率が高い。
「竹取物語の結びにある、富士の火山活動。あれは例の竹を歴史から抹消するすり替えだ。気象と地理で計算すると、俺達のすぐ傍に、霊薬の欠片が埋まっててもおかしくない。いや、絶対ある」
雲を掴む様な空論。大学の実験室で事故を起こし、機能を根こそぎ駄目にした。生育中だった性別未詳の子供を道連れに。

あれから二人の歯車が狂った。
求婚を蹴って地元を去り、大学の伝手で商売を始めた。遭難か自殺かも判らない彼の痕跡を追うくらいなら、何故引き留めなかった――。

包帯の裏で目を凝らしても、眼鏡越しの様に昏い。
光も失ったのだと覚った。
ファンタジー
公開:19/04/11 13:03
かぐや姫と富士山の火山活動 泥炭中の残留植物と花粉化石

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。

小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍(電子/紙)を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。

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