紙幣鼎談

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「お、千ちゃんよう来たな」
「や、どうも諭吉さん」

居酒屋の戸を開けると、真っ赤に頬を染めた一万円札が険しい目付きでこちらを睨んでいた。
「今晩おまはんを呼んだんはな、例の新紙幣の件じゃ」
そら来たぞ⋯⋯。
「と、言いますと?」
「あれはないやろ」
五千円札がぐい飲みに熱燗を注いでくれた。
「一葉さん、すみません」
「あちきも子ども銀行券か思いましたわ」
「はぁ」
「とくに英数字デカしたんわ致命傷やな」
「はぁ」
「でな、今から矢部総理に直談判にいこ思てな」
「えっ!?」
あかん、二人とも完全に目が据わってる。
「わしら旧紙幣の復活じゃい!!」
と叫んで立ち上がり、二人のお札は「必勝」と書かれた鉢巻を絞め、総理官邸に向け出発しようとしたが⋯⋯。

──お客さまお勘定!
という天の声とともに、一万円札と五千円札はするすると天へと吸い上げられ、代わりに千円札が数枚と小銭たちが降りてきた──。
ファンタジー
公開:19/04/11 13:02
更新:19/04/12 11:43
ショートショートカレンダー 1月7日「千円札の日」 用です。すみません。

渋谷獏( 東京にいるけっどカンサイジ〜ン♪ )

(獏・ω・) 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。
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